2011/08/15

迎え火


小学生の頃、母の故郷に連れて行かれた夏休みの記憶

夕暮れ、おばぁちゃんに手をひかれて海岸の砂浜に行く
どこからともなく、緩く結わえた長めの藁の束を手にした人たちが
海岸に集まり、藁に火を灯し始める
すると、おばぁちゃんは、何やらブツブツと独り言のような
そしてときおり歌うような不思議な様子

おばぁちゃんは何を歌ってるのん?

母にたずねると、おばぁちゃんの隣に座ると分かるから、と。
ゆらゆら揺れる藁の火に吸い込まれるように
砂浜に座るおばぁちゃんに近づくと

   ○○ちゃんも、帰っておいで~、○○さんも帰っておいで~
   ここやぞ、ここやぞ、迷わず帰っておいで~
   じぃさんも、ここやぞ、ここやぞ、迷わず帰っておいで~

海水浴域を示すブイの辺り、漁船が白熱灯を煌々と照らしては、ゆっくりと漂う
何度も繰り返す念仏のようなおばぁちゃんの囁き声は、ちょっと怖いような
でもくすぐったいほど、優しさに溢れてるような・・・
そして白熱灯が海を照らす灯りと、村の人たちが持つ藁の火が揺れるのが
重なって夢のような美しさだったことを覚えている



先日、お盆の帰省で、その夏休みの記憶のことを話をしてると
母が、それは小学校3年生の夏休みだと断言する
母いわく、その迎え火のことを書いた作文が校内コンクールで
賞をもらったから、ちゃんと覚えていると。・・・全然、記憶に無いぞ?

   ほら、お迎え火、言う題で、精霊馬のこと、おばぁちゃんに教わったことも
   書いてあって、お昼休みに、放送室で朗読したの覚えてないの?

記憶のカケラも無いが、こと、オレの子供の頃のことなら
何でも覚えてる母が言うならそうなんだろう。
なんと、内容まで覚えてると・・・

   おばぁちゃんに教わりながら、おじぃちゃんが早く戻って来れるように
   きゅうりの馬を作って、ゆっくり元の場所に帰る様になすびの牛を作りました
   でもどうせなら、おじぃちゃが帰れないようにしようと思って
   なすびの牛を隠したら、どうしてか、おばぁちゃんに怒られました
   でも、おばぁちゃんは、怒りながらも嬉しそうでした

そんなカンジらしい

 
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覚えてない方が良かったぞ・・・
でも、いい作文じゃんw( ̄ー ̄)
 
 
 

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